スキップしてメイン コンテンツに移動

4節 高力ボルト接合/7章 鉄骨工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

7.4.1 一般事項

この節は、トルシア形高力ボルトの摩擦接合又はJIS 形高力ボルトの摩擦接合に適用する。

7.4.2 摩擦面の性能及び処理

(1) 摩擦面は、すべり係数値が0.45以上確保できるよう、摩擦接合面全面の範囲のミルスケールを除去した後、一様に錆を発生させたものとする。
ただし、ショットブラスト又はグリットブラストによる処理を施し、同一の作業条件のもと作成された対比試験片との照合等により、摩擦面の表面粗度が 50μmRz 以上確保された状態であることを確認した場合は、錆の発生を要しない。

(2) 摩擦面には、鋼材のまくれ、ひずみ、へこみ等がないものとする。

(3) すべり試験を実施する場合、試験の方法等は、特記による。

(4) フィラープレートは、鋼板とし、(1)と同様に処理する。

(5) 鋼材とボルトの頭部又は鋼材と座金の接触面は、鋼材のまくれ等を取り除き、平らに仕上げる。

7.4.3 標準ボルト張力

標準ボルト張力は、表 7.4.1 による。

表 7.4.1 標準ボルト張力

7.4.4 高力ボルトのセットの取扱い

(1) 高力ボルトのセットは、未開封の状態で搬入し、使用の直前に包装を開封する。

(2) 包装を開封して使用しなかった高力ボルトのセットは、再び包装して保管する。

(3) 試験又は締付け機器の調整に用いた高力ボルトは、本接合に使用しない。
また、試験又は機器の調整にも再使用しない。

7.4.5 締付け施工法の確認

(1) 高力ボルトの締付け作業に先立ち、工事で採用する締付け施工法を確認する。

(2) 確認の方法は、JASS 6 6.5[締付け施工法の確認]に準ずる。

7.4.6 組立

(1) 摩擦面に摩擦力を低減させるものが生じないよう考慮して組立を行う。
また、摩擦面に浮き錆が発生した場合又は油、塗料、じんあい等が付着した場合は、組立に先立ち取り除く。

(2) 接合部の材厚の差等により1mmを超える肌すきがある場合は、フィラープレートを入れる。

(3) ボルト頭部又はナットと接合部材の面が、1/20 以上傾斜している場合は、勾配座金を使用する。

(4) 組立後、ボルト孔心が一致せずボルトが挿入できない場合は、添え板等を取り替える。

7.4.7 締付け

(1) 本接合に先立ち、仮ボルトで締付けを行い、板の密着を図る。
なお、仮ボルトの締付けは、7.10.5の(2)から(4)までによる。

(2) 締付けに先立ち、ボルトの長さ、材質、ねじの呼び等が施工箇所に適したものであることを確認する。

(3) ボルトを取り付けた後、一次締め、マーキング、本締めの順序で本接合の締付けを行う。

(4) 1群のボルトの締付けは、群の中央から周辺に向かう順序で行う。

(5) 一次締めは、表7.4.2によるトルクでナットを回転させて行う。

表 7.4.2 一次締付けトルク

(6) 一次締めしたボルトには、ボルト、ナット、座金及び母材 (添え板) にかけてマークを施す。

(7) 本締めは、標準ボルト張力が得られるよう行い、次による。

(ア) トルシア形高力ボルトは、専用のレンチを用いてピンテールが破断するまで締め付ける。

(イ) JIS形高力ボルトは、トルクコントロール法又はナット回転法で締め付ける。
なお、ナット回転法の場合のナット回転量の規定値は、120°(M12は、60°)とし、ボルトの長さがねじの呼びの5倍を超える場合の回転量は、特記による。

(8) 着氷のおそれがある場合は、締付け作業を行わない。
ただし、適切な措置を講じ支障のない場合は、この限りでない。

7.4.8 締付け後の確認

(1) 締付け後に、次を確認した高力ボルトのセットを合格とする。

(ア) トルシア形高力ボルトの場合は、次による。

(a) ピンテールが破断していること。

(b) 一次締めの際につけたマークのずれにより、共回り又は軸回りが生じていないこと。

(c) ナット回転量は、各ボルト群のナットの平均回転角度-30°から平均回転角度+30°までの範囲であること。

(d) ボルトの余長は、ねじ1山から6山までの範囲であること。

(イ) JIS形高力ボルトの場合は、次による。

(a) ナット回転法による場合は、次による。

① 一次締めの際につけたマークのずれにより、共回りが生じていないこと。

② ナット回転量は、規定値-30°から規定値+30°まで(M12は、規定値 0°から規定値+30°まで)の範囲であること。
なお、回転量が不足している場合は、追締めし、所定の回転量であること。

③ ボルトの余長は、(ア)(d)による。

(b) トルクコントロール法による場合は、次による。

① 一次締めの際につけたマークのずれにより、共回りが生じていないこと。

② ナット回転量に著しいばらつきが認められるボルト群は、トルクレンチを用いて全てのボルトのナットを追締めする。
この結果、締付けトルクと締付け施工法の確認において設定した締付けトルクの基準値との差が±10%以内にあること。
なお、締付け不足が認められた場合は、追締めし、所定のトルクであること。

③ ボルトの余長は、(ア)(d)による。

(2) (1)の確認の結果、合格とならなかった場合は、高力ボルトのセットを新しいものに取り替える。

(3) 一度使用した高力ボルトのセットは、再使用しない。

(4) 締付け後の確認結果を記録し、監督職員の検査を受ける。

7.4.9 締付け機器及び確認用機器

(1) 締付け機器及び確認用機器は、ボルトに適したものとし、適切に点検整備されたものとする。

(2) トルクコントロール法による締付けを行う場合は、毎日1回作業開始前に、JASS 6 6.4[高力ボルトの締付け]b.(4)に準じて締付け機器の調整を行い、その結果を記録する。
ただし、あらかじめ監督職員と協議した場合は、この限りでない。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版 をWebページ化したものです。

コメント

共有する

このブログの人気の投稿

4節 ガス圧接/5章 鉄筋工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

5.4.1 一般事項 5.4.2 ガス圧接作業を行う技能資格者 5.4.3 圧接部の超音波探傷試験を行う技能資格者 5.4.4 圧接部の品質 5.4.5 圧接一般 5.4.6 鉄筋の加工 5.4.7 鉄筋の圧接前の端面 5.4.8 天候等による措置 5.4.9 圧接作業 5.4.10 圧接完了後の圧接部の試験 5.4.11 不合格となった圧接部への措置 5.4.1 一般事項 この節は、鉄筋を酸素・アセチレン炎を用いて加熱し、圧力を加えながら接合するガス圧接に適用する。 5.4.2 ガス圧接作業を行う技能資格者 (1) ガス圧接作業は、技能資格者が行う。 (2) 技能資格者は、 JIS Z 3881 (鉄筋のガス圧接技術検定における試験方法及び判定基準) に従う工事に相応した試験に基づく能力を有する者とする。 (3) (1)及び(2)以外は、 1.5.3[技能資格者] による。 5.4.3 圧接部の超音波探傷試験を行う技能資格者 (1) 5.4.10(イ) の圧接部の超音波探傷試験は、技能資格者が行う。 (2) 技能資格者は、圧接部に関する知識、超音波探傷試験の原理及び方法等について十分な知識及び経験に基づく能力を有する者とする。 (3) 圧接部の超音波探傷試験を行う技能資格者は、当該工事における圧接部の品質管理を行っていない者とする。 (4) (1)から(3)まで以外は、 1.5.3[技能資格者] による。 5.4.4 圧接部の品質 圧接後の圧接部の品質は、次による。 (ア) 圧接部のふくらみの直径は、鉄筋径(径の異なる場合は細い方の鉄筋径)の1.4倍以上であること。 (イ) 圧接部のふくらみの長さは、鉄筋径の1.1 倍以上とし、その形状がなだらかであること。 (ウ) 圧接部のふくらみにおける圧接面のずれは、鉄筋径の1/4 以下であること。 (エ) 圧接部における鉄筋中心軸の偏心量は、鉄筋径(径の異なる場合は細い方の鉄筋径)の 1/5以下であること。 (オ) 圧接部の折れ曲りは、2°以下であること。 (カ) 圧接部の片ふくらみは、鉄筋径(径の異なる場合は細い方の鉄筋径)の1/5以下であること。 (キ) 圧接部は、強度に影響を及ぼす焼割れ、へこみ、垂下がり及び内部欠陥がないこと。 5.4.5 圧接一般

3節 モルタル塗り/15章 左官工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

15.3.1 適用範囲 15.3.2 材料 15.3.3 調合及び塗厚 15.3.4 下地処理 15.3.5 工法 15.3.1 適用範囲 この節は、コンクリート下地、コンクリートブロック下地等の面に施すセメント、細骨材等を主材料としたモルタル塗りに適用する。 15.3.2 材料 (1) モルタルは、現場調合材料又は既調合材料とし、適用は特記による。 (ア) 現場調合材料 (a) セメントは、 6.3.1[コンクリートの材料](1) による。 (b) 白色ポルトランドセメントは、 JIS R 5210 (ポルトランドセメント) に準ずる。 (c) 細骨材 ① 砂は、良質で塩分、泥土、じんかい及び有機物を有害量含まないものとする。 粒度は、表15.3.1により、細粗粒が適切に混合したものとする。 ② 色砂の粒度は、表15.3.1に準ずる。 ③ 内壁下塗り用軽量モルタルの細骨材は、セメント混和用軽量発泡骨材とし、建築基準法に基づく不燃材料の指定又は認定を受けたものとする。 (イ) 既調合材料は、特記による。 (2) 水は、水道水を使用する。 ただし、井水を使用する場合は、清浄で塩分、鉄分、硫黄分、有機物等を有害量含まないものとする。 (3) 混和材料は、次により、モルタルの性能に著しい悪影響を与えないものとする。 (ア) 混和材は、左官用消石灰、ドロマイトプラスター等とする。 また、色モルタルの場合は、色彩に影響を与えるものは避ける。 (イ) 保水剤は、メチルセルロース等の水溶性樹脂とし、実績等の資料を監督職員に提出する。 (ウ) 建具回り等の充填モルタルに使用する防水剤及び凍結防止剤の実績等の資料を監督職員に提出する。 (エ) ポリマーセメントモルタル、ポリマーセメントペースト用の混和剤は、 JIS A 6203 (セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂) に基づくセメント混和用ポリマーディスパージョンとする。 (オ) 内壁下塗り用軽量モルタルに使用する混和材は、骨材の製造所の仕様による。 (カ) 顔料は、耐アルカリ性の無機質で、直射日光等に対しても変色が少なく、金属を錆びさせないものとする。 (4) 吸水調整材の品質は、表 15.3.2 による。 (5) 下地調整塗材は、 JI

2節 表面処理/14章 金属工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

14.2.1 ステンレスの表面仕上げ 14.2.2 アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理 14.2.3 鉄鋼の亜鉛めっき 14.2.1 ステンレスの表面仕上げ ステンレスの表面仕上げの種類は、特記による。 特記がなければ、表面仕上げは、HL程度とする。 14.2.2 アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理 (1) アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理は、表14.2.1 により、種別は、特記による。 (2) 陽極酸化皮膜の着色方法は、特記による。 特記がなければ、二次電解着色とし、色合等は特記による。 (3) 種別が表14.2.1のAB-1種、AB-2種、AC-1種又はAC-2種の場合は、表面処理後に次の措置を講ずる。 (ア) アルカリ性材料と接する箇所は、耐アルカリ性の塗料を塗り付ける。 (イ) シーリング被着面は、水和封孔処理による表面生成物を取り除く。 14.2.3 鉄鋼の亜鉛めっき (1) 鉄鋼の亜鉛めっきは表14.2.2により、種別は特記による。 (2) 溶融亜鉛めっき面の仕上りは、 JIS H 8641 (溶融亜鉛めっき) に準じ、表14.2.3による。 また、溶融亜鉛めっき面の欠陥部分の補修は、表14.2.4による。 このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版 をWebページ化したものです。

関連コンテンツ