11.2.2 材料
11.2.3 張付け用材料
11.2.4 その他の材料
11.2.5 張付けモルタルの調合
11.2.6 施工時の環境条件
11.2.7 施工
11.2.8 養生等及び清掃
11.2.1 一般事項
この節は、工事現場において、セメントモルタルによるあと張りでタイル張り仕上げを行う工事に適用する。
11.2.2 材料
(1) タイルの品質は、JIS A 5209 (セラミックタイル) に基づくほか、タイルの形状、寸法、耐凍害性の有無、耐滑り性、標準色・特注色の別等は、特記による。
なお、モザイクタイル及び内装タイルは、タイルの製造所の標準品とする。
(2) 役物
(ア) 役物の適用は、特記による。
なお、内装タイルは、面取りしたものを使用する。
(イ) 窓まぐさ・窓台部分に使用する役物タイルの形状は水切りのよいものとする。
(ウ) 小口タイル以上の大きさのタイルをまぐさ又はひさし先端下部に用いる場合は、形をL形とし、外装タイルセメントモルタル張りで湿式成形法のタイルの場合は、引金物用の穴をあけたものとする。
(3) タイルの試験張り、見本焼き等は、特記による。
11.2.3 張付け用材料
(1) 張付けモルタルの材料は、15.3.2[材料](1)の(ア)及び(2)による。
ただし、細骨材の大きさは、表11.2.1とする。
(2) 張付けモルタルの混和剤
(ア) 保水剤は、メチルセルロース等の水溶性樹脂とし、実績等の資料を監督職員に提出する。
(イ) セメント混和用ポリマーディスパージョンは、JIS A 6203 (セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂) による。
(3) 既調合モルタルは、特記による。
(4) 吸水調整材は、表15.3.2[吸水調整材の品質]による。
(5) 既調合目地材の場合は、実績等の資料を監督職員に提出する。
11.2.4 その他の材料
(1) セメントモルタルによるタイル張りの引金物は、なましステンレス鋼線 (SUS304) の径0.6mm以上とし、働き長さ 200mm 程度のものとする。
なお、乾式成形法によるタイルの場合は、11.2.2(2)(ウ)の穴あけに代えて引金物をエポキシ樹脂により接着する。
(2) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地のシーリング材は、9章7節[シーリング]による。
11.2.5 張付けモルタルの調合
(1) モルタルの調合は、表11.2.2による。
なお、モルタルの練混ぜは、内装タイルの改良積上げ張りに用いるものを除き、原則として、機械練りとする。
また、1回の練混ぜ量は、60分以内に張り終える量とする。
(2) 既調合モルタルは、モルタルの製造所の仕様による。
(3) 既調合目地材は、モルタルの製造所の仕様による。
11.2.6 施工時の環境条件
(1) 外装タイル張りにおいて、降雨、降雪又は強風が予想される場合、その他タイル張りに悪影響を及ぼすおそれがある場合は、施工を行わない。
(2) 施工中又は施工後の気温が5℃以下になると予想される場合は、施工を行わない。
11.2.7 施工
(1) 下地及びタイルごしらえは、次による。
(ア) 下地モルタル塗りを行うコンクリート素地面の処理は、特記による。
(イ) 目荒し工法又はMCR工法とする場合は、次による。
(a) 目荒し工法とする場合は、15.3.4[下地処理](3)による。
(b) MCR工法とする場合は、6章8節[型枠]による。
(ウ) モルタル塗りの下地は、15.3.5[工法](4)による。
(エ) タイル下地面の精度は 15.3.5(4)(イ)(a)による。
(オ) 屋外のタイル張りを行う場合、下地モルタルの乾燥が著しい場合は、前日散水し、十分吸水させる。
ただし、降雨等で十分に吸水されている場合は、この限りでない。
(カ) タイル張りに先立ち、下地モルタルに適度の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。
ただし、改良積上げ張りの場合、吸水調整材の塗布は行わない。
(キ) 吸水性のあるタイルは、必要に応じて、適度の水湿しを行う。
(ク) タイルごしらえは、必要に応じて行う。
(2) 床タイル張りは、次による。
(ア) 張付け面積の小さい場合は、容積比でセメント1、細骨材3~4に少量の水を加えた敷モルタルを用いてたたき締め、その硬化具合を見計らい、張付けモルタルを用いてタイルを張り付ける。
(イ) (ア)以外の場合は、15.3.5(4)により下地モルタルを施工し、その硬化具合を見計らい、張付けモルタルを用いて張り付ける。
(ウ) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、合計の塗厚はユニットタイルは3~5㎜とし、その他のタイルは5~7㎜とし、1回の塗付け面積の限度は2m2以下とする。
(エ) 張付けは、目地割りに基づいて水糸を引き通し、隅、角その他要所を押さえ、通りよく平らに張り付け、表面及び目地底は、随時清掃する。
(オ) 張付け面積の大きい場合は、目地割りにより2m程度に基準となるタイル張りを行い、これを定規にして張り付ける。
(カ) 化粧目地詰めに先立ち、目地部分を清掃する。
目地詰めは、張付け後モルタルの硬化を見計らって可能な限り早い時期に行う。
また、目地部の乾燥状態により適度の水湿しを行う。
(キ) 化粧目地は、次による。
(a) 目地の深さは歩行に支障のない程度の沈み目地とする。
(b) 目地幅の大きい場合は、目地用モルタルをゴムごてで確実に充填したうえ、目地ごてで目地押えを行う。
(c) 目地幅の小さい場合は、すり込み目地とする。
(ク) 目地詰め後、タイル面を清掃する。
(ケ) 防水層の保護コンクリート等の上にタイルを張る場合は、9.2.5[保護層等の施工](6)による伸縮調整目地に合わせてタイルの伸縮調整目地を設ける。
なお、目地材は、9章7節[シーリング]による。
(3) 壁タイル張りは、次による。
(ア) タイル張りの工法と張付けモルタルの塗厚は表11.2.3により、タイルの種類及び工法は特記による。
(イ) 密着張りは、次による。
(a) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内、かつ、20 分以内に張り終える面積とする。
(b) 張付け順序は、目地割りに基づいて水糸を引き通し、窓、出入口回り、隅、角等の役物を先に行う。
(c) 張付けは、張付けモルタルの塗付け後、直ちにタイルをモルタルに押し当て、タイル張り用振動機 (ヴィブラート) を用い、タイル表面に振動を与え、張付けモルタルがタイル裏面全面に回り、さらに、タイル周辺からモルタルがはみ出すまで振動機を移動させながら、目違いのないよう通りよく張り付ける。
(d) 化粧目地は、次による。
① タイル張付け後、24 時間以上経過した後、張付けモルタルの硬化を見計らって、目地詰めを行う。
② 目地の深さは、タイル厚さの1/2以下とする。
③ 目地詰めに先立ち、タイル面及び目地部分の清掃を行い、必要に応じて、目地部分の水湿しを行う。
④ 目地詰め後、モルタルの硬化を見計らい、目地ごて等で仕上げる。
(e) 目地成形後、タイル面の清掃を行う。
(ウ) 改良積上げ張りは、次による。
(a) 目地割りに基づいて役物を張り付け、水糸を引き通し、下から張り上げる。
(b) 張付けは、張付けモルタルをタイル裏面全面に平らに塗り付けて張り付けた後、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまで入念にたたき締め、通りよく平らに張り付ける。
なお、モルタルの塗置き時間は5分以内とする。
また、内装タイル張りにおいて、張付けモルタルに隙間ができた場合は、モルタルを補充する。
(c) 1日の張付け高さの上限は、1.5m程度とする。
(d) 化粧目地は、(イ)(d)による。
(e) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。
(エ) 改良圧着張りは、次による。
(a) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内、かつ、60 分以内に張り終える面積とする。
また、練り混ぜる量は1回の塗付け量及び張付け量とする。
(b) 張付け順序は、(イ)(b)による。
(c) 張付けに先立ち、下地側に張付けモルタルをむらなく平たんに塗り付ける。
(d) 張付けは、タイル裏面全面に張付けモルタルを平らに塗り付けて張り付け、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまでたたき締め、通りよく平らに張り付ける。
(e) 1回のモルタル塗面にタイルを張り終わったとき、モルタルの硬化の程度により、張付けが終わったタイル周辺にはみ出しているモルタルは除去し、塗り直してからタイルを張り進める。
(f) 化粧目地は、(イ)(d)による。
(g) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。
(オ) マスク張り (25mm角を超え小口未満のタイル) は、次による。
(a) 張付けモルタルには、混和剤を用いる。
(b) 張付け順序は、(イ)(b)とし、役物及び切物タイルの張付けは、(ウ)(b)による。
(c) 張付けは、張付けモルタルをタイルに見合った、ユニットタイル用マスクを用い、ユニット裏面全面にこてで圧着して塗り付け、縦横及び目地幅の通りをそろえて張り付け、適切な方法で目地部分に張付けモルタルがタイル周辺からはみ出すまでたたき締める。
なお、モルタルの塗置き時間は、(ウ)(b)による。
(d) 表張り紙の紙はがしは、張付け後、時期を見計らって水湿しをして紙をはがし、著しい配列の乱れがある場合は、タイルの配列を直す。
(e) 化粧目地は、すり込み目地とするほかは、(イ)(d)の①から③までによる。
(f) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。
(カ) モザイクタイル張り (小口未満のタイル) は、次による。
(a) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、3m2/人以内、かつ、20 分以内に張り終える面積とする。
(b) 張付けモルタルを塗り付けた後、タイルを張り付け、縦横及び目地幅の通りをそろえ、適切な方法で目地部分に張付けモルタルが盛り上がるまでたたき締める。
なお、タイル張継ぎ部分の張付けモルタルは除去し、塗り直す。
(c) 表張り紙の紙はがしは、(オ)(d)による。
(d) 化粧目地は、(オ)(e)による。
(e) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。
(f) (a)から(e)まで以外は、(イ)による。
(4) まぐさ、窓台等のタイル張りは、次による。
(ア) 下地は、設計図書に基づき、形状、水勾配等を正しく施工する。
小口タイル以上の大きさのタイルをまぐさ又はひさし先端下部に張り付ける場合は、11.2.4(1)の引金物を張付けモルタルに塗り込み、必要に応じて、受木を添えて24時間以上支持する。
(イ) 窓台部分のタイルは、窓枠、水切り板等の裏面に差し込み、裏面に隙間のないようにモルタルを充填する。
(ウ) (ア)及び(イ)以外は、一般部分に準ずる。
(5) 伸縮調整目地にはみ出した張付け用モルタルは全て削り落とし、張付けモルタルの施工が適切でなく隙間のできた場合はモルタルを補充し、目地の形状を整える。
11.2.8 養生等及び清掃
(1) 養生等は、次による。
(ア) 屋外施工の場合で、強い直射日光、強風、降雨等により損傷を受けるおそれのある場合は、シートを張るなどして養生を行う。
(イ) モルタルが急激な乾燥又は凍結のおそれがある場合は、適切な防寒、保温設備等を設け、凍結等のないようにする。
(ウ) 施工中及びモルタルが十分硬化しないうちに、タイル張り面に振動、衝撃等を与えない。
(エ) 床タイル張り後、3日間は、タイル上を歩行しない。
やむを得ず、歩行する場合は、道板等で養生を行う。
(2) 清掃は、次による。
(ア) 清掃は水洗いとし、タイル表面を傷めないように汚れを取り除く。
(イ) 目地モルタルによる汚れが著しい場合は、監督職員の承諾を受けて、清掃に酸類を用いることができる。
また、酸洗い前後は水洗いを行い、酸類が残らないようにする。
なお、金物類には、酸類が掛からないように養生を行う。
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