スキップしてメイン コンテンツに移動

3節 既製コンクリート杭地業/4章 地業工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

4.3.1 一般事項

(1) この節は、セメントミルク工法及び特定埋込杭工法による既製コンクリート杭地業に適用する。

(2) 4.3.4及び4.3.5に示す工法の適用は、特記による。

4.3.2 既製コンクリート杭地業における施工管理技術者

(1) 既製コンクリート杭地業においては、施工管理技術者を配置する。

(2) (1)以外は、1.3.2[施工管理技術者]による。

4.3.3 材料

(1) 既製コンクリート杭は、「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法並びにその結果に基づき地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を定める方法等を定める件」(平成 13 年7月2 日 国土交通省告示第1113 号)に基づく品質を有し、その種類、性能、曲げ強度等による区分等は、特記による。

(2) 杭の寸法、継手の箇所数、杭先端部の形状等は、特記による。

(3) 溶接材料は、7.2.5[溶接材料]による。

(4) セメントは、6.3.1[コンクリートの材料](1)による。

4.3.4 セメントミルク工法

(1) セメントミルク工法は、アースオーガーによって、あらかじめ掘削した縦孔の先端から根固め液及び杭周固定液を注入し、既製コンクリート杭を建て込む工法をいう。

(2) 専門工事業者が工事の規模に相応した施工機械、施工体制、施工実績等を有していることを証明する資料を、監督職員に提出する。

(3) 支持層の位置及び土質は、特記による。

(4) 杭の取扱いは、JIS A 7201(遠心力コンクリートくいの施工標準)による。

(5) 試験杭は、次による。

(ア) 次の確認等を行い、その結果に基づき、支持層の確認を行うとともに、管理基準等を定める。

(a) 掘削径、掘削深さ、施工時間、根固め液及び杭周固定液の注入量、建込み中の鉛直度並びに杭頭の高さの確認を行う。

(b) 予定の支持層に近づいたら掘削速度を一定に保ち、アースオーガー駆動用電動機の電流値又は積分電流値の変化を測定する。

(c) アースオーガーに付着している土砂と土質調査資料及び設計図書との照合を行う。

(d) 根固め液の調合及び注入量並びに杭の根入れ状況を確認する。
なお、杭周固定液の注入量は、根固め液の注入量及び雇い杭 (やっとこ) の長さを考慮する。

(イ) (ア)以外は、(6)及び4.2.2による。

(6) 本杭は、次による。

(ア) 掘削深さ、杭の支持層への根入れ深さ及び杭の水平方向の位置ずれ寸法は、特記による。

(イ) アースオーガーヘッド径は、杭径+100mm程度とする。

(ウ) アースオーガー駆動用電動機には、電流値又は積分電流値を自動記録できる設備を設ける。

(エ) 全ての本杭について、(5)により定めた管理基準等と照合を行うとともに、支持層の確認を行う。

(オ) 掘削は、安定液を用いて孔壁の崩落を防止しながら、杭心に合わせて鉛直に行い、アースオーガーが予定の支持層に達した後、根固め液及び杭周固定液を注入しながらアースオーガーを引き抜く。
なお、引抜き時にアースオーガーを逆回転させてはならない。

(カ) 杭の建込みは、孔壁を傷めないように行い、圧入又は質量2t程度のドロップハンマーにより落下高0.5m程度で軽打とし、根固め液中に貫入させる。

(キ) 杭は、建込み後、鉛直度を確認しながら杭心に合わせて保持し、7日間程度養生を行った後、根切り及び杭頭処理を行う。

(ク) 根切り後、杭周囲を調査し、空隙のある場合は、空隙部に杭周固定液等を充填する。

(ケ) 安定液、根固め液及び杭周固定液は、次による。

(a) 安定液は、ベントナイト等を用い、孔壁の崩落防止に必要な濃度のものとする。

(b) 根固め液は、水セメント比 70%(質量百分率)以下のセメントミルクとし、注入量(m3)は掘削断面積(m2)×2(m)以上とする。

(c) 根固め液又は杭周固定液が浸透して逸失した場合は、その対策を定め監督職員の承諾を受ける。

(d) 安定液等は、関係法令等に基づき適切に処理する。

(コ) 根固め液及び杭周固定液の管理試験は、特記による。
特記がなければ、次による。

(a) 試験の回数は、表4.3.1による。

表 4.3.1 試験の回数

(b) 1回の試験の供試体の数は、3個とする。

(c) 供試体の採取は、次による。

① 根固め液は、グラウトプラントから1回分の供試体を一度に採取する。

② 杭周固定液は、杭建込み後の掘削孔よりオーバーフローした液から1回分の供試体を一度に採取する。

(d) 供試体は、直径50mm、高さ100mm程度の円柱形とし、ポリエチレン袋を用いて作製する。
なお、作製方法は、(公社)土木学会「コンクリート標準示方書(規準編)」の「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率及び膨張率試験方法」又は(一社)コンクリートパイル建設技術協会の「埋め込み工法に用いる根固め液及びくい周固定液の圧縮強度試験方法」による。

(e) 供試体の養生方法は、6.9.3[コンクリートの強度試験](1)(ア)による標準養生とする。

(f) 強度試験は、JIS A 1108 (コンクリートの圧縮強度試験方法) による。

(g) 根固め液及び杭周固定液の圧縮強度の判定は、材齢28日の圧縮強度試験の1回の試験の平均値が表4.3.2 の値を満足すれば合格とする。

表 4.3.2 圧縮強度

(サ) 施工記録は、4.3.9による。

4.3.5 特定埋込杭工法

(1) 特定埋込杭工法は、「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法並びにその結果に基づき地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を定める方法等を定める件」(平成13年7月2日 国土交通省告示第 1113 号)第6に基づく埋込杭工法をいう。(以下この章において同じ。)

(2) 専門工事業者が工事の規模に相応した施工機械、施工体制、施工実績等を有していることを証明する資料を、監督職員に提出する。

(3) 支持層の位置及び土質は、特記による。

(4) 杭の根入れ長さ及び水平方向の位置ずれの精度は、特記による。

(5) 試験杭は、特定埋込杭工法ごとに定められた条件以外は、4.2.2による。

(6) 本杭は、試験杭の結果及び特定埋込杭工法ごとに定められた条件による。

(7) 施工記録は、特定埋込杭工法ごとに定められた条件以外は、4.3.9による。

4.3.6 継手

(1) 杭の継手の工法は、アーク溶接又は無溶接継手とし、適用は特記による。

(2) 継手の施工に当たり、上下杭の軸線を同一線上に合わせる。

(3) 溶接施工は、JIS A 7201 及び日本溶接協会規格 WES 7601(基礎杭打設時における溶接作業標準)による。

(4) 溶接部の確認方法は、JIS A 7201 の 8.2[溶接継手による場合]の g) により、全ての溶接部を確認する。

(5) 溶接後は、溶接部を急冷しないように、適切な時間をおいて杭の建込み等の施工を再開する。

(6) 無溶接継手は、継手部に接続金具を用いた方式とし、工法等は特記による。

4.3.7 継手の溶接作業を行う技能資格者

(1) 継手の溶接作業は、技能資格者が行う。

(2) 技能資格者は、次による。

(ア) 手溶接の場合は、JIS Z 3801(手溶接技術検定における試験方法及び判定基準)による A-2H程度又は日本溶接協会規格 WES 8106(基礎杭溶接技能者の資格認証基準)による FP-A-2Pの技量を有する者とする。

(イ) 半自動溶接の場合は、JIS Z 3841(半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準)による SS-2H若しくはSA-2H程度又は日本溶接協会規格 WES 8106によるFP-SS-2P若しくはFP-SA-2Pの技量を有する者とする。

(ウ) (ア)又は(イ)によることが困難な場合、手溶接にあっては A-2F、半自動溶接にあっては SS-2F又はSA-2Fの技量を有し、実績等の資料により(ア)又は(イ)と同等以上の能力があると認められる者とする。

(3) (1)及び(2)以外は、1.5.3[技能資格者]による。

4.3.8 杭頭の処理等

(1) 杭頭の処理は、特記による。

(2) 杭の中空部にコンクリート等が落下しないように、杭頭に適切な措置を講ずる。

4.3.9 施工記録

全ての杭について、杭の材料、掘削径、施工時間、支持層深さ、アースオーガー駆動用電動機の電流値又は積分電流値、根固め液及び杭周固定液の注入量、杭の根入れ長さ、建込み中の鉛直度、継手の状態、水平方向の位置ずれ寸法、杭頭の高さ、杭頭処理の状態等を記録する。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版 をWebページ化したものです。

コメント

共有する

このブログの人気の投稿

5節 軽量鉄骨壁下地/14章 金属工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

14.5.1 一般事項 14.5.2 材料 14.5.3 形式及び寸法 14.5.4 工法 14.5.1 一般事項 この節は、建物内部の間仕切壁等の軽量鉄骨壁下地に適用する。 14.5.2 材料 (1) 壁下地材は、 JIS A 6517 (建築用鋼製下地材 (壁・天井) ) による。 (2) 開口部補強材及び補強材取付け用金物は、防錆処理されたものとする。 (3) 組立及び取付け用打込みピン、小ねじ、ボルト等は、亜鉛めっき処理されたものとする。 14.5.3 形式及び寸法 (1) スタッド、ランナーは、表14.5.1により、種類は特記による。 特記がなければ、スタッドの高さによる区分に応じた種類とする。 (2) スタッドの間隔は、下地張りのある場合、450mm 程度とする。 また、仕上材料を直張りする場合又は壁紙若しくは塗装下地の類を直接張り付ける場合、300mm程度とする。 14.5.4 工法 (1) ランナーは、端部を押さえ、間隔 900mm程度に打込みピン等で、床、梁下、スラブ下等に固定する。 ただし、鉄骨、軽量鉄骨天井下地等に取り付ける場合は、タッピンねじの類又は溶接で固定する。 (2) スタッドの上下は、ランナーに差し込む。 (3) 振れ止めは、床面ランナー下端から約 1.2mごとに設ける。 ただし、上部ランナー上端から400mm以内に振れ止めが位置する場合は、その振れ止めを省略することができる。 (4) スペーサーは、各スタッドの端部を押さえ、間隔600mm程度に留め付ける。 (5) 出入口及びこれに準ずる開口部の補強は、特記による。 特記がなければ、次による。 (ア) 縦枠補強材は、上は梁、スラブ下の類に達するものとし、上下とも、あと施工アンカー等で固定した取付け用金物に溶接又はボルトの類で取り付ける。 なお、65形で補強材が4.0mを超える場合は、2本抱き合わせて、端部を押さえ、間隔 600mm程度に溶接等で、組み立てたものを用いる。 (イ) 上枠等の補強材は、縦枠補強材に取付け用金物を用いて、溶接又は小ねじの類で取り付ける。 (ウ) 開口部のために切断されたスタッドは、上下枠補強材にランナーを固定し、これに取り付ける。 (6) 設計図書に表示されているダクト類の開口部の補強は、次によ...

5節 コンクリート舗装/22章 舗装工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

22.5.1 一般事項 22.5.2 舗装の構成及び仕上り 22.5.3 材料 22.5.4 施工 22.5.5 養生 22.5.6 試験 22.5.1 一般事項 この節は、コンクリート舗装に適用する。 なお、路盤は 3節 による。 22.5.2 舗装の構成及び仕上り (1) コンクリート舗装の構成及び厚さは、特記による。 特記がなければ、歩行者用通路のコンクリート版の厚さは、70mmとする。 なお、寒冷地の縁部立下り寸法等は、特記による。 (2) コンクリート版の厚さは、設計厚さを下回らないこととする。 (3) 溶接金網は、コンクリート版の厚さが150mmの場合は表面から1/2程度の位置に設ける。 また、コンクリート版の厚さが200mmの場合は表面から1/3 程度の位置に設ける。 (4) コンクリート舗装の平たん性は、 22.4.2(4) による。 22.5.3 材料 (1) コンクリートは 6章 14節[無筋コンクリート] により、コンクリートの種類、設計基準強度、スランプ及び粗骨材の最大寸法は、特記による。 特記がなければ、普通コンクリートとし、表22.5.1による。 (2) 早強ポルトランドセメントを用いる場合は、特記による。 (3) プライムコート用の乳剤は、 22.4.3(2) による。 (4) 注入目地材料は、コンクリート版の膨張収縮によく順応し、かつ、耐久性を有するもので、品質は表22.5.2 により、種別は特記による。 特記がなければ、低弾性タイプとする。 (5) 伸縮調整目地用目地板は、アスファルト目地板又はコンクリート版の膨張収縮によく順応し、かつ、耐久性を有するものとする。 (6) 溶接金網は JIS G 3551 (溶接金網及び鉄筋格子) に基づき、鉄線径6mm、網目寸法150mmとする。 22.5.4 施工 (1) コンクリートの品質に悪影響を及ぼすおそれのある降雨若しくは降雪が予想される場合又は打込み中のコンクリート温度が2℃を下回るおそれのある場合は、適切な養生を行う。 なお、適切な養生を行うことができない場合は、打込みを行わない。 (2) コンクリート版の施工に先立ち、路盤の仕上げに引き続いて、直ちにプライムコートを行う。 (3) 型枠は、所定の形状及び寸法が得ら...

4節 軽量鉄骨天井下地/14章 金属工事/平成31年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

14.4.1 一般事項 14.4.2 材料 14.4.3 形式及び寸法 14.4.4 工法 14.4.1 一般事項 この節は、屋内及び屋外の軽量鉄骨天井下地に適用する。 ただし、次の天井を除く。 (ア)「特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件」 (平成25年8月5日 国土交通省告示第771号) に定める特定天井 (イ) 天井面構成部材等の単位面積当たりの質量が20kg/m2 を超える天井 (ウ) 傾斜、段差、曲面等の水平でない天井 (エ) システム天井 14.4.2 材料 (1) 天井下地材は、 JIS A 6517 (建築用鋼製下地材 (壁・天井) ) による。 (2) 野縁等は表 14.4.1 により、種類は特記による。 特記がなければ、屋内は 19 形、屋外は 25形とする。 (3) 補強用金物は、防錆処理されたものとする。 (4) インサートは鋼製とし、防錆処理されたものとする。 14.4.3 形式及び寸法 (1) 野縁受、吊りボルト及びインサートの間隔は900mm程度とし、周辺部は端から150mm以内とする。 ただし、屋外の場合は、特記による。 (2) 野縁の間隔は、表14.4.2による。 ただし、屋外の場合は、特記による。 14.4.4 工法 (1) インサートは、型枠組立時に配置する。 (2) 吊りボルトの躯体への取付けは、コンクリート等の場合、埋込みインサートに十分ねじ込み、固定する。 鉄骨の場合、溶接等の適切な工法を用いて取り付ける。 なお、ダクト等のため、躯体に直接吊りボルトが取り付けられない場合は、アングル等の鋼材を別に設けて、吊りボルトを取り付ける。 (3) 野縁の吊下げは、吊りボルト下部の野縁受ハンガーに野縁受を取り付け、これに野縁をクリップで留め付ける。 なお、クリップのつめの向きを、交互にして留め付ける。 また、クリップの野縁受への留付けは、つめが溝側に位置する場合、野縁受の溝内に確実に折り曲げる。 (4) 下地張りがなく野縁が壁等に突き付く場合で、天井目地を設ける場合は、厚さ0.5mm以上のコ形又はL形の亜鉛めっき鋼板を、野縁端部の小口に差し込むか、又は、添え付けて留め付ける。 また、下地張りがなく壁に平行する場合は、端部の野縁をダブル野縁とする...

関連コンテンツ